小毬さんから「葉留佳さんに聞いてみたら」って言われて、来てみたんだけど……
「ほぇ?」
恋って、なんなのかなぁって。
「理樹君、誰かに恋してるんですか?」
うーん、それが分からないんだよ。
『好き』っていうのが、良く分からなくてさ。
「それは困りましたねぇ? 私でよければお手伝いしますヨ」
ありがとう、葉留佳さん。
「いえいえー、いつもお世話されっぱなし迷惑かけっぱなしなので、
ここぞという時に役に立っておかないと」
あはは、葉留佳さんらしいね。
「えーと……恋はですネ、キュンキュンしちゃうものなんですヨ。
好きな子のことが頭から離れられなくなって、心臓が、こう、ドクッて止まっちゃうんですよ」
……ってそれ死んじゃうじゃないか!
「あはは、言葉のアヤってやつですよ。切なくて、ドキドキして……
あとは、好きな男の子のためには、ってキレイになりますネ!」
キレイに? お化粧をするってこと?
「うーん、それもあるかもだけど、何ていうか、輝いて見えるようになるっていうか。
そう! 心をおめかしするの!」
そうすると、どうなるの……?
「あー、訳分からないですよね。例えば、歩き方とか、ご飯の食べ方とか、
そんな簡単なことでも、男の子に好きになってもらおうと頑張っちゃうんですネ、女の子って」
へえ、そうなんだ。
「理樹くんも、好きな女の子ができたら自然とそうなりますよ。
このはるちんを信じなさい!」
う、うん。
『恋をすると、心がキレイになる』か。
ありがとう、葉留佳さん。
「いえいえ、どういたしましてー。でも、これは私だけのお話かもしれないから、
他の人にも聞いてみた方がいいかも知れませんね」
他の人? 例えば……
「例えば、アネゴなら知ってるかもしりませんよ?」
ああ、確かに。
「それじゃ理樹くん、私は応援してますヨ!」
ありがとう。それじゃ来ヶ谷さんを探しに行ってくるよ。
またね、葉留佳さん。
「まったね〜」
***
「……理樹君の、バカ」
(続)