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真っ暗な部屋の中に、三人の女性がいた。
一人はベッドの上でぐったりと寝ている。
残りの二人はグラスに酒を酌み交わしながら、倒れている一人に対して感想戦を討論していた。
「やっぱり、スバルは体力こそあれど精力がないのよ、精力が。そう思うでしょ、イクス?」
成人した女性が、対等な言葉で少女に話しかけている。
イクスと呼ばれた少女もまた対等な態度で、女性に接していた。
「ええ、その通りです、ティアナ。私の責めに耐えられないようでは先が思いやられます。性活が全く潤いません」

クスクス笑いながら、イクスヴェリアは立ち上がり、倒れ伏す女性の頬を妖しく撫でた。
むずがって寝返りを打つ彼女に、少女は微笑む。
「ふふふ、スバルはまだまだ発展途上ですからね、これからしっかり開発していかないといけません」
スバルの口に指先を軽く入れると、顔を紅く染めて、喉から絞るような喘ぎを出した。
イクスはスバルの口から満足そうに指を引き抜くと、ティアを振り返った。
「次はどうやって調教しましょうか? そろそろ人の手足では限界が来たと思うのですが」
「そうねぇ、でもあたしの家には特に面白いものはないわよ?」

二人して腕を組み、向かい合って考え込む。もちろんスバルは置いてけぼりである。
考えあぐねたティアが端末を開き、適当に検索を始める。
足をぶらぶらさせながら、イクスヴェリアはその様子を眺めていたが、突然ティアはガタリを蹴って立ち上がった。
「これよ、これ!」
「どれですか?」
端末を覗き込むイクスヴェリア。そこには、一本の棒が映っていた。
ピンク色で、平らな一端からはコードが延びている。
もう一方は丸みを帯びつつも尖っており、どこかに挿入するのに丁度良さそうな形だ。
コードに近い方からは更に枝が分かれていて、そちらには小さい粒状の突起を押さえ込むのにピッタリなクリップがついていた。
「分かりました! これをスバルに挿れるのですね」
「ご明察。でもそれだけじゃ何にも面白くないわ」
ティアはそう言って、ブラウザーのタブを移した。
そこに書かれていたのは、バインドで拘束された状態でその棒を挿入された人の体験記だった。
「スラックスを履いてベルトでぎっちり締めるのよ。そうすれば何かの弾みでずり落ちたりもしないって訳」
「手はともかく、足まで縛るのにはどんな意味があるのでしょうか?」
「ちょっと考えてみなさい、誰だってこうなったら足をよじらせたりするものでしょう? それすら封じるのよ」
「なるほど。でもこれは電池式だと書いてありますよ? 一々交換するのも面倒です」

ティアの興奮は、棒一本にあった訳ではないようだった。
「さて、ここからがあたしの提案なんだけど」
イクスヴェリアは興味心身に耳を傾ける。
ティアはもったいぶって咳払いをし、そしてゆっくりと口を開けた。
「マリエル技官なら電源に直結するくらいは朝飯前じゃないかしら?」
「……ということは、休みの間一日中──ということも可能なのですね。ワクワクしてきました!」
最高のアイディア。二人はテンションが上がってハイタッチを三回も交わし、更に酒を酌んだ。
次にスバルとティアが揃って休みを取れるのはいつになるのだろうか、今から楽しみになってきた。
「何より必要なのは、スバルの精力です。何せ、私達二人が相手なのですから」
「まったくだわ、スバルにはスッポンとかマムシとかニンニクとか、なのはさん達の世界にあるものも沢山食べさせないとね」
結論をつけたイクスとティアは、いくになく硬い握手を交わした。
それはまた、決して離れ得ない友情であり、共にスバルを嫁に迎えることを誓った同志でもあった。

***

二人の淑女、もとい変態という名の淑女が作戦会議を終らせると、二人は揃って狭いベッドに潜り込んだ。
スバルを挟んで、川の字になって寝る。
暖かなスバルの温もりで、一瞬で眠りの妖精が舞い降りてきた。
「おやすみなさい、イクス。楽しい夢を見ましょう」
「ティアナこそ、楽しい夢を見て下さい。それではおやすみなさい……」

(完)


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