「ところでクドリャフカ君、こんなものはどうだね」
「わふー、なんですか、これ?」
「理樹君をメロメロにする必殺の兵器だよ」
「ひ、必殺、ですかー」
「これを君に授けよう。そしてクドリャフカ君自身の力を存分に試すのだ」
「あい、さー! わかりましたなのです!!」

「……姉御、いくら面白いからってあれはちょっとえげつないんじゃ?」
「何を言ってるんだ? あれは彼女にこそ相応しい。私には到底似合わない代物さ」
「そりゃ、そうですけど」
「ん? 何かその物言い、妙に引っかかるな。『どうせ姉御にはおっぱいしかないんだから』とでも言いたげだな」
「そんな、どっかの筋肉バカみたいな言いがかりはやめて下さいー! 大体おっぱいだけあれば十分です!!」

──

というやりとりがあったのが、昼休みのこと。
「……今度は何があったの?」
理樹は、また頭を抱えていた。
「わたしの力を存分に試すのです!」
「いや、だからね……」
誰に何を吹き込まれたのだか、クドリャフカは、

イヌミミのバンドとしっぽをつけていた。

「どうですか、威力バツグンですか?」
「あー、いや、うん、確かに凄いんだけど……」
犯人は一人しかいない。
「わふーっ! ついにわたしもバカにされないほど強くなったのです!」
──それは違いますクドリャフカさん。
「どうしてそんなものを?」
取り敢えず、当たり障りのない質問をしてみる。
というか、何が起きているのやらさっぱり分からない。
「えーとですね、来ヶ谷さんが『これをつければ銀河最強の兵士になれるぞ』って」
「確かに、一部の人には効果てきめんだろうけど」
何かが間違ってるのに、その何かが指摘できないのがもどかしすぎる。
「あ、鈴さん!」

クドリャフカが向けた視線の先で、バカ三人がこちらに向かっていた。
「お、クド公、今日も元気いっぱいだな」
「わふー、ありがとうなのです」
「というか、その妙な飾り物はなんだ。文化祭か何かの練習か?」
「いえー、違いますよ〜?」
「うん、ちょっと可愛いな。だがあの変態恭介のところに持って行ったら……ってあれ? 恭介は?」
ついさっきまで、鈴、恭介、真人、謙吾といたはずだった。
それがどうした訳か、今は三人しかいない。

「あ、いた」
鈴の指差す先。
そこには、盛大な鼻血を吹いて倒れている恭介の姿があった。
「ロリだな」
「間違いないな」
「変態」
「今度ばかりは僕も擁護しかねるよ、恭介……」
「わふ?」

その後、(21)伝説が確固たるものになったことを、誰もが覚えている。


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