「きゃぅっ」
学校に通うフェイト。
上履きが慣れないのか何なのか、何もないところで転ぶのはこれで三度目だった。
「フェイトちゃん、大丈夫?」
なのはが手を差し伸べて、フェイトを優しく引っ張り上げる。
「あ、ありがとうなのは」
顔を綻ばせながら、なのはの手を取るフェイト。
頬を染めるその様子は、見方を変えれば恋する乙女に見えなくもなかった。
「しっかしユーノ君も危なっかしいなあ、ちゃんと繋いでおかんとなのはちゃんを寝取られてまうで?」
「はやてちゃん、『寝取る』ってどういう意味?」
疑問符を浮かべるすずかに、はやては懇切丁寧に解説する。
「あぁ、それはな、付き合うてる女の子を無理やりベッドに連れ……むぐ」
「あはは、何でもないのよすずか。はやて、アンタはちょっと黙ってなさい」
よろしくない意味だと瞬時に悟ったアリサは、実力行使でこのトラブルメーカーを黙らせた。
『何で』繋いでおくのか、予想のついてしまったアリサはこの後、自己嫌悪に陥ったという。

わいのわいのやる三人は差し置くとして。

「ごめんね、いつもいつも」
「気にしないで。困った時はお互い様だよ」
打ち付けた膝小僧を優しくなでて、なのはが言う。
「いつでも頼ってよ、フェイトちゃん。わたしたちはいつでも一緒なんだから」
「なのは、私はなのはと一緒にいられるだけで幸せだよ。ホントだよ?」
「うん、わたしもフェイトちゃん、大好きだよ」

二人を微笑ましく見つめる、三人分の影。
「なんていうか、フェイトちゃん、目が離せないって言うか、こう……なんていうんだろうね?」
「それを人はドジっ娘というんや!」
はやての鶴の一声。
その日から、フェイトは二つ名を得た。

「何あの封鎖結界……はやて、念話とか何とかいうのでユーノをここに呼んできなさい」
「いやや」
「完全拒否っ!?」
「だって見てて面白いんやもん」
「ダメだこいつら早くなんとかしないと」

(了)


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