広告
「みんなー、特にクロノ君ー、フェイトちゃん連れてきたよー」
「なぜ僕を……ぶっ!」
 たらり。クロノの鼻から生温い液体が流れ出た。だらり、と紅いそれは垂れて、いつしか止まらなくなっていく。
 フェイトが身に付けている水着、それはスクール水着。しかも旧スク。オマケに白。
「はやて、恥ずかしいよこんなの……っていうか、どこで買ってきたの?」
「あるところにはあるのだろう。それに、ソニックフォームだと思えば恥ずかしくなかろう」

 至極冷静にシグナムが言い放つ。「ナイスフォロー」とシグナムにウィンクを送り、はやては更にフェイトをけしかける。
「そそ。それに大丈夫やてフェイトちゃん。これでクロノ君はフェイトちゃんに釘付けやでー」
 その瞬間、フェイトの表情がパッと変わる。赤面していることに変わりはないが、それは前向きなものに変わっていた。最近、ブラコンが加速しているフェイトである。
「どうかな、お兄ちゃん?」
「なっ、フェイト、みんなの前でその呼び方は……それになんて破廉恥な……」
 同じくシスコンが加速するクロノの紅潮は限界に達し、もはや耳まで真っ赤になっていた。
「ほーらクロノ君もフェイトちゃんも、海に入ってクールダウンしたらどやー?」
 はやてが掛けた言葉はもちろんクールダウンなど狙っていない。クロノの脳裏は既に白い水着のフェイトで埋め尽くされていた。『この水着で海に入ったりしたら透けてしまうのではないか、いや既に透けているのでは──』
 妄想で自爆するクロノを尻目に、アリサは諦めの境地で呟いた。
「これで気温五度は上昇したわね」
「あはは、酷暑達成だね」
 こうして、なのは達の夏が始まった!


小説ページへ

inserted by FC2 system