「わふ〜、気持ちいいです」
「そうだね、クド。僕も眠くなってきちゃった」
放課後。あったかい季節に、ふたりでおひるね。さわさわと風の音が耳に心地いい。
草の上でウトウトしていると、ゆっくりとまぶたが重くなってきた。このまま、ちょっとだけ……
「おや、理樹くんじゃないか」
唯湖がやってきて、ころんと横になる。もちろん、クドのおとなりだ。
理樹はくすくす笑って、クドにのしかかっていきそうな唯湖に向かって言った。
「ダメだよ、ゆいちゃん?」
「ゆ……ゆゆゆ、ゆいちゃんはやめろと言っているだろう!?」
「でも呼びやすいし」
「あ……あぅあぅあぅ、それだけはやめてくれ、理樹くん……」
「だって、ゆいちゃんは可愛いんだよ?」
さっと現れたのは、小毬。ニコニコしながら、理樹の前にしゃがむ。
「私もお昼寝しようかな」なんて言っている小毬に、理樹はやさしく教えてあげた。
「小毬さん、その、見えてるよ」
「え? ……メロン?」
「ううん、イチゴ」
「うわあああああああああんっ、大当たりだよおおおおおおおおおおおっ!!」
泣き顔にうっとりしている唯湖。色々あきらめて横になった小毬。
そこへ、道着姿の男が、ぬっと現れた。
「なんだ、寝てるのか?」
「ううん、まだちょっと起きてるよ」
だんだんと、ウトウトしてきた。謙吾が理樹の近くに転がって、空を見上げる。
そのまま寝てしまおうかとも思ったけれど、まだまだ来そうだった。
「このはるちんを置いてみんなで楽しもうだなんて、あんまりじゃないの? 私も混ぜてよー!」
葉留佳がわいのわいの騒ぎながらやってきて、理樹の上にのしかかってきた。
しかも間の悪いことに、佳奈多までやってきた。
「随分と楽しそうね、葉留佳、直枝」
「僕は楽しくないよ!?」
しばらくもみくちゃしていたけれど、結局佳奈多まで上にのしかかってきた。
理樹がため息をついていると、美魚が優しく日傘を差してくれた。
「あ、ありがとう……」
「うーん、やはり私としては直枝×棗の方が」
「恭介受けか、何だか想像しづらいな……って何しに来たのさ!?」
キレイなノリツッコミが炸裂したけど、全然嬉しくない。
というか、そろそろ美魚の言いたいことが分かってきてしまった。
そこへ、真人が騒ぎを聞きつけてやってきた。
「みんなで昼寝か? オレも混ぜてくれよ」
おでこに汗がキラめく、さわかやなようで暑苦しい真人に、全員がそろって首を横に振った。
筋肉の男は泣きながらその場でごろんと転がった。
その上を、ストレルカが豪快に踏んづけていく。
「わーっ、大丈夫ですか真人さん!?」
「おう、クー公か。オレの筋肉を舐めてもらっちゃ困るんだぜ」
「わふーっ、流石なのです!」
クドにしっぽが生えていたら、絶対ふりふりしていた。
その場にいた全員が、ストレルカや真人と遊んでいるのを見て思ったりしていた。
最後にやってきたのは、恭介と鈴だ。
ぴょこぴょことネコをたくさん連れている鈴は全員を見渡すと、ぼそりと言った。
「なんだ、全員集合じゃないか」
鈴は小毬の隣で横になると、身体を丸めた。
夏の始まりを教えてくれる太陽の光が、サンサンと降り注いでいる。
恭介は一人離れたところでみんなのことを見守るように見つめながら、そっと目を閉じた。
そしてそれが合図で、リトルバスターズはネコたちといっしょにお昼寝を始めた。
佐々美がそれに気付いたのは、むにゃむにゃとみんながぼちぼち目を覚ましたころになってからだった。