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「うぅぅ〜、お腹へったよぉ〜……」
小毬は今日、とんでもない寝坊をしてしまった。起きたらもうそれだけで遅刻寸前。
寮を出たらパジャマのまんまということに気づき、慌てて戻って着替えたら、
今度は財布やらお菓子やら全部玄関に置いてきてしまった。
もちろん、朝ごはんなんて食べてる暇はなかった。
「ドジっ娘ですネ!」
「ふええぇぇん」
おなかはペコペコ、ぐーぐーと鳴りっぱなし。いつもと同じように屋上に来てみたものの、
そこには誰もいなかった。

「あ、こまりちゃん。やっぱりここにいたか」
鈴がそこにやってきて、フェンスにくいっと寄りかかった。
お菓子を広げてないのを見て、ため息をつく。
「あたしでも誰でも、言えば食べ物くらいなんとでもなったぞ。
特にはるかなんか、こまりちゃんが落ち込んでるのをみてはんせーしてたぞ」
鈴が差し出してくれたのは、いくつかのチョコ。それとサンドイッチが二つ。
ピーナッツバターのとチョコクリームのだ。
多分真人の趣味だろう、カツサンドとコロッケパンも。
「あ、ありがとうーりんちゃん!!」
「にゃっ、抱きつくなっ……にゃー!」
購買からのパンを、みんなでちょこちょこ買ってきてくれたらしい。
何もなくてそわそわしていたのに、みんな気づいていたのだ。
「くるがやが言ってた、『残念だが小毬君が満足する量のお菓子は集まりきらなかったな……』って。
だからごめん、こまりちゃん」
「うんうん、そんなことないよ!ありがとう!」
小毬は嬉しくて、これ以上ない笑顔でサンドイッチにぱくついた。
甘くておいしくて、朝ごはんも食べられなかったお腹にはすっごく効いた。
慌てて食べたせいで、ちょっとむせる。スッと差し出してくれたレモンティーを受け取って、ごくごく飲む。
一息ついて、今度はカツサンドをかじる。いつもは甘いパンばかりだったから、今日はちょっと新鮮。
全部食べ終ると、もうお腹いっぱい。
携帯を確認すると、まだお昼休みの半分も過ぎていなかった。
「あれ、鈴ちゃん、お昼ごはんは?」
「食べてない。でも、こまりちゃんは朝も食べてないんだから、こまりちゃんが先だ。
それに、まだ時間はある」
包み紙を全部片付けると、鈴が学食に行きたそうな顔をしていたから、一緒に行くことにした。
途中、唯湖に会って、小毬はぺこりと頭を下げた。
「ありがとう〜、ゆいちゃん!お陰で助かったよ」
「ふむ。だが元々この話題を振ったのは鈴君だし、お金を出し合ったのは全員だ。
私はその一翼を担ったに過ぎないさ。それに、大した金額でもないしな」
「うんうん、そんなことないよ!」
唯湖と別れ、学食に着くと、リトルバスターズの面々が揃いも揃って大騒ぎしていた。
その光景を見て、小毬の心に一つの決意が浮かんだ。
「よし!」
「……どうしたんだ、こまりちゃん?」
「ううん、あとのお楽しみだよ、鈴ちゃん」
「んんー……?」
ちょっとしたパーティーを開くのだ。女子寮に男の子は入ってこれないから、理樹の部
屋辺りがちょうどいいかもしれない。

おかしとジュース、それに美味しいクッキーなんかを焼いて持っていこう。
ルンルン気分で学食の椅子に座ると、理樹や葉留佳、恭介に囲まれながら、
わいのわいのと残りのお昼休みを過ごしたのだった。

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