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「ユーノ、くーんっ!!」
出会い頭にユーノの胸に飛び込んだのは、管理局の白い先任軍曹こと高町なのは――いや、なのは・T・スクライアである。
別名を管理局の白い天使と呼ばれ、ユーノが二つ名の鍵を握っていることが知られている。
新人たちが最初に覚えることは、なのはとユーノの関係に水を差さないことだ。
デートを潰してまで作って貰った補習なぞ、断末魔の叫びが聞こえてきたという話が絶えない。
時々、凄いニコニコ顔で全員に奢ってくれることもある。その時は、天使から熾天使までランクアップする。
仕事が思ったよりも早く終ったなのはは、無限書庫まで赴いて愛する人を呼んだ。
その天使を天使たらしめているユーノは、手に持った資料に目を落としつつ答えた。
「なのは、最近可愛くなったよね」
「は、はわっ、あああなた、ななな何を言ってるのかな!?」
目を合わせずしてクスリと笑うのが、またニクい。
『それに』、とようやく目を上げて、ユーノはなのはの耳元で囁いた。
「美人になった」

なのはがはにゃはにゃと崩れ落ちて、恍惚とした表情でユーノを見上げた。
そのままお姫様抱っこされて、司書長室のベッドに連れて行かれる。
寝かせられた後、てっきり襲われるのかと思いきや、意外と紳士に振る舞わられた。
「迎えに来てくれたのは嬉しいんだけど、僕はまだ仕事があるんだ。それまでいい子で寝てるんだよ?」
「はぁ〜い」
ユーノを潤んだ目で見上げ、キスをねだると、彼の唇はなのはを捕えた。
触れ合うだけの、軽い口づけ。だって、それ以上やると、自分が押さえられないのを知っているから……
「なのはも疲れてるでしょ? 少し横になってからでだって、何も遅くないよ。ヴィヴィオはもう一人でも安心だしね」
「うん、そうだね。でも、もう一回だけ、キス、ダメかな?」
「もう、甘えんぼだな、なのはは」
「わぁい! あなた、大好き!」
ちなみにこの封鎖領域が複数の司書を精神的に撃滅したことを、なのはは知らない。

「じゃあ、またね、なのは。おやすみ」
「おやすみなさいー」
ユーノはベッドから離れ、デスクに戻ると、予め召集していた司書たちを前に宣言した。
その目に、妻への愛や皆への労わりなどは微塵もなかった。
「さて、これで管理局の白い眠り姫は気にしなくていいよ。
さぁ、全員仕事だ! 今日は誰も帰れないと思ってよ!」

――似たもの夫婦とはまさにこのこと。ワーカーホリック気味なユーノは、
全員を奮い立たせると、文字通り山と積まれた仕事に手を着けた。

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