ブログ
「ひゃぅっ!!」
「だっ、大丈夫、アインハルトさん!?」

校門よりだいぶ手前、二人は道でたまたま出会った。
そのまま一緒に歩いていく最中、アインハルトは何かに足をひっかけて転んでしまったらしい。
手を差し伸べて、ヴィヴィオは少女を起こしてあげる。
パッと見たところ、目立った外傷はなさそうだった。
投げ出されたカバンを拾って戻ってくると、アインハルトはしきりに頭を下げていた。
「色々すみません……ご迷惑をおかけして」
その一言を聞いて、ヴィヴィオはにぱっと顔を明るくした。
道行く人々の流れが、初等部と中等部の不思議な制服の組み合わせに注目を集めていた。
「そんなことないですよ! 私はやりたいようにやってるだけですから──あっ、私の方こそ迷惑でした?」
シュンとうなだれるヴィヴィオ。
アインハルトは手をぶんぶん振って、思いきり否定していた。
「ち、違います! 私はただ……」
そこまで来て、二人の少女は顔を見合わせた。そして、同時に吹き出す。
可憐な笑い声が、朝の通学路に響いた。
「お互い、勘違いってことですね」
「そうみたいですね。ヴィヴィオさん、これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ! よろしくお願いします、アインハルトさん」
はにかみながら、改めての握手を交わす二人。
周囲には結界が張られ、何人も出入することはできなかったという。

「アインハルトさんって、実はドジっ娘?」
「むしろヴィヴィオが王子様って感じ?」
草陰からニヤニヤと見守る影が二人分。もちろん、コロナとリオである。
たまたま二人の背中を見て声をかけようと思ったのだが、
アインハルトが何もないところでいきなり転んでしまい、その後は甘酸っぱい空気が噴火して近づけるに近づけなかったのだ。
「あ、予鈴鳴ったね」
「それじゃ、わたし達も行こう?」
慌しくなってきた喧騒に混じって、リオとコロナも歩き出した。
その手は、ちゃんとお互い握られていた。

小説ページへ

inserted by FC2 system