「ル、ルーちゃん……なに、やってるのかな」
「見て分からない?」
「分からないから聞いてるんだけどな……」
「そう、それじゃ見てるといいわ」

ギシ、ギシ、とベッドが軋む。
ルーテシアはエリオの上に乗って、身体を動かしていた。
仰向けになったエリオの身体に手を押し付けている。
上下に動いているその様子は、ふわりと膨らんだスカートの下に隠れて見えない。

「エリオ君……ルーちゃんと、そんな関係、だったの?」
「そんなって、大したことじゃないじゃないか」
「大したことない、って……」

キャロの心に点った炎は、みるみるうちに爆発した。
「エリオ君の、ばかぁーっ!!」

フリードはキャロの魔力を受け取ってあっという間に大きくなり、部屋を圧迫するまでになる。
「え、ちょっと、キャロ、それは誤解だよ! 間違ってるってば!!」
「エリオ君なんて、しらない! ルーちゃんなんて、だいっきらいっ!!」
火炎の熱が全てを焼き尽くすがごとく、エリオとルーテシアに迫る。
「キャロ、だから──」

爆発が起きた。

「……くきゅる〜」
部屋は丸焦げ、キャロは魔力切れ。
エリオとルーテシアも、それぞれに煤の張り付いた髪を掻きあげて、惨状を見回す。
部屋の入り口で倒れたキャロを抱き上げると、足の折れかけたベッドに寝かせた。
「んっ……ん?」
小一時間も経って、やっと目覚めたキャロ。
心配そうに覗き込んだ二人の顔を見るなり、物凄い形相で後ずさった。
「ふっ……不潔!!」
「何言ってるのさ、キャロ。誤解だってば」
「いやだいやだいやだ、言い訳なんて聞きたくない!!」
エリオは不思議そうな顔をして、キャロに問いかけた。

「あの、僕ルーにマッサージしてもらってただけなんだけど……」
「へ?」

エリオは、懇切丁寧に説明した。
最初はうつ伏せだったこと、途中で仰向けになって、肩口を揉んでもらおうとしていた矢先の出来事であったこと。
「え、っと……つまり、その……あぅ、ごめんなさい」
ぺこりとキャロは頭を下げる。
何も言わずルーテシアは話を聞いていただけだったが、やがてこくりと頷いた。
「友達だから、許す。でも」
「でも?」
「キャロにはおしおき」

その後、しばらくキャロはルーテシアにくすぐり攻撃を受け続けたのだった。
更に時間が経ってフェイトに三人まとめて怒られたのも、後々になってはいい思い出。
かもしれない。

(了)


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