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「おお、飲むねえ」
「ほらほら、もう一杯」
「あの、いえ、これ以上は、私ちょっと……」
「何言ってるんだい、夜はまだまだこれからだよ」
「うぅ、誰か助けて下さいです」

ロシアでは、アルコールをひたすら飲んで身体の内側から温めないと凍死する。
──という都市伝説が広く流布していた。主に計画経済下の時代から。

「もう、無理、です」
「たった三本ならまだまだ行けるよ。ロシア男児の」
「私女の子なのです、だから無理なのです、なのです、なのです……」
「でもクルガヤツカヤのばーさんは俺らの誰よりも飲むんだぜ」
「さぁさ、グラスを出して」
「あぅあぅ、全然関係ないのに誰かを思い出してしまいました……」

クドリャフカが飲み干したウォッカは、実は四本だったりする。
何が問題かというと、それが場にいた人間たちの中で一番少なくて、
つまるところ周りがその倍以上飲んでいるせいで、強制的に付き合わされているのだった。

「助けてー……」
「おっと、助けは来ないぜ、グヘヘへへ」
「ハハハ、どこのマフィアだよ」
「あぅあぅ、もうこれは覚悟を決めてカミカゼアタックをするしかないのです」
「おう、クドリャフカちゃんもようやく分かったか」

尚、ロシアの飲酒可能年齢は18歳である。
クドリャフカは例え形の上だけだろうと18歳以上なので、思う存分アルコールを摂取できるのである!!

「んぐっ、んぐっ、んぐっ……」
「おっ、いい飲みっぷり。流石だねえ」
「よっしゃ、もう一壜行こうぜ!」

クドリャフカの夜は、親戚にもみくちゃになりながら過ぎていく。
いつ終るともしれない乱痴気騒ぎは、まだまだ盛り上がる──

(了)

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