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「いやー、今年のなのはちゃんも乱れとるなー。眼福眼福」
「はやてちゃん……」
「お、リィン。いたんか。今回もばっちり撮れとるで。おお、今年のハラオウン家はSMでもやるんか?」
「は・や・て・ちゃ・んっ!!」

いつの間にやら、カメラの数はカップルの数だけ設置されていた。
というか、それ以上。
ビール片手にビーフジャーキーを齧りながら、書斎で優雅に盗撮である。
本人の気づかぬうちに各人の居住地に侵入し、バレない位置にカメラを仕掛けていくのは、物凄い重労働なのだ。

「それに見合った見返りは欲しいもんやね。」
「いやいや、はやてちゃんが一人で勝手に危ない橋を渡ってるだけです!!」
「はあ、それにしてもエリオもキャロも純情やなー、なんかこう、もっとガツンといかんかい。
──あ、キャロがエリオを押し倒した。やっぱ六課の女の子は皆やりよるなー。感心感心」
「全然聞いてないです……」

今年は、なのは&ユーノだけでなく、クロノ&エイミィ、エリオ&キャロ、スバル&ティアなどなど。
色々カメラを置いたが、スバルとティアのマンションだけ、そのどちらにも姿を現していなかった。

「おいおーい、二人はどこ行ったんやー、ホテルなんて行かれたら叶わへんでー」
「……このことは皆さんに報告しておきます」

酔った勢いのままブーイングをかますはやてに、リィンは溜息を吐く。
しかしはやては顔色ひとつ変えず、机の引き出しをごそごそやって、一枚のディスクを取り出す。
それをリィンに放り投げて、再生を促した。

「なんですか、これ?」
「リィンがこの部屋で私と一緒にこのカメラを見たくなる魔法や」

訳が分からない、とリィンは端末を起動し、そこにディスクを挿入した。
そこに映っていたのは──

「はやてちゃん」
「なんや?」
「謹んで私もこのカメラを見させて頂きたく存じますです」
「な、私の魔法は完璧やろ?」
「ふぇ〜ん、なんでこんなところまでばっちり撮られているですかー?」

そこに映っていたのが何だったかは、二人だけの秘密である。
そして、カメラの件についても、誰か一人でも気付くのはもうちょっと先の話に延ばされたのだった。

(了)

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