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「なあ……」
「どうしたの、クロノ君?」

クロノは大量の書類を目の前に、エイミィへ溜息を吐いた。
もしこの書類で焼き芋が作れるなら、是非そうしたいくらいに大量だった。

「僕らのクリスマスは?」
「んー、元々管理外世界の行事だし、あたしらには関係ないんじゃない?」

エイミィは一度、黙った。
何か良からぬ気配を感じ、恐る恐る振り向くと、妻の顔からは形容し難い、否、名伏し難いオーラが漂っていた。

「ってことにしておかないと、やってられないと思うヨ?」

クリスマスが潰れた原因の大半は、クロノ自身にあった。
ユーノに仕事を押し付けた挙句、なのはが倒れてユーノごと持っていかれてしまった。
作業要員は圧倒的に足りず、巡航艦の人員は殆どが一時的に引き抜かれた。
彼らの作業は一つ残らずクロノの元に集まり、エイミィ共々有り得ない物量の処理に追われていた。

「さーて、クロノ君にはどういうおしおきが効果的なのかなあ?」
「おしおき、って……あ、エイミィ、それは?」
「クロノ君おしおき装置」
「いや、そういうことじゃなくて、っていうか装置っていう程凄いものじゃ」
「そう、凄いものじゃないよ。でも、クロノ君を心から反省させるには、これが一番だと思うんだ」

エイミィはナニかを取り出していた。
それを見たクロノは顔を真っ青にし、首を左右に振る。
だが、エイミィは暗い感情を湛えたまま、忙しさに精神の限界を振りきってしまったようだった。

「うん、僕が悪かった、全面的に悪かっただから許してくれいや許して下さいごめんなさいちょっと待ったエイミィそれは何ヤバいってマズいから助けてお願い待って下さいうわああああああああ」
「待たない」

およそ三ヶ月、クロノは大人しくなったとか。
三ヶ月後、何が彼を待ち受けていたのか、それはエイミィしか知らない。
一つだけ確かなのは、その後しばらくクロノはシクシクと男らしくもなく泣いていたことだ。

(了)

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